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「言い換え(パラフレーズ)」が問題になるときとは? | ターンイットイン

The Turnitin Team
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Audrey Campbell
Audrey Campbell
M.A. in Teaching; Senior Marketing Writer

学生のうちから「言い換え(パラフレーズ)」することを奨励される場合、その多くは「アイデアを自分のものとするために言い換えましょう」 と指導されます。しかし、それは実際には何を意味するのでしょうか?また、何のために言い換えを行うのでしょうか?

「言い換え」はアカデミック・インテグリティにとって必須の要素です。それは、他者のアイデアを別の言葉で言い表すことで、 既出の概念を敬意と思慮を込めて新たな形で表現します。さらに出典を正確に示すことで、文章に信頼性をもたせ、 その主題に対してさまざまな視点を例示することもできます。原典からアイデアを借用する合法的な方法であることはもちろん、 原典が示す内容をより深く理解する方法でもあります。

たとえば詩の分野では、シェイクスピアやルーミーの一節をうまく言い換えると、読者が 「さまざまな比喩的表現に潜む意味を理解する」のに役立ち、親しみを感じやすくなります。また日々の生活においても、 ある評論家のテレビでの発言や学長の歓迎スピーチでの冒頭挨拶など、言い換えは日常的に行われており、「(原文にとって代わるものでなく)原文と併存するバージョン」 が作りだされています。

多くの人が「引用」「言い換え」「要約」を同じカテゴリーに分類しますが、これら3つには重要な違いがあります。パデュー大学のオンライン・ライティング・ラボ(OWL)では次のように定義されています。

  • 引用とは、原文とまったく同し文言を使うことである。引用範囲は原典の狭い範囲に限られる。原文と一字一句同じ文言にし、 原著者への帰属を示さなければならない。
  • 言い換えとは、原典の一節を自分の言葉に置き換えることである。引用と同様に、言い換えも、 新たなアイデアを創出するわけではないので、帰属を示さなければならない。通常、原典の比較的広い範囲からアイデアを取り出して凝縮するため、 言い換えた文章は原文より短くなる。
  • 要約とは、要点のみを抽出し、文章の要旨を自分の言葉でまとめることである。ここでも新たなアイデア創出はないため、 要約したアイデアの帰属を示さなければならない。要約は原文より大幅に短く、原典の概要を広く捉えたものとなる。


「言い換え(パラフレーズ)」と「複写(コピー)」の違い

他のライティングスキルと同様に、言い換えも効果的に練習して実践する必要があります。どんなに勤勉な学生でも、論文の一部が「言い換え (パラフレーズ)」と「複写(コピー)」のあいだのグレーゾーンになってしまうことがあります。先に述べたように、言い換え (パラフレーズ)とは原文の一節やフレーズを別の言葉で言い換えることです。また、複写(コピー)とは、その名の通り、 原文の一字一句を書き写すことです。グレーゾーンが発生する理由は、学生が自分の言葉で原文を言い換えるときに、 それが自分の独自の思考だと感じてしまうからです。しかし、そのアイデア自体は他者のものであるので、 元の発案者の存在を認知する必要があります。言い換えの出典を示さないのは問題であり、盗用・剽窃行為となります。

問題のある言い換えとは?

言い換えが問題視されるのは、オリジナルのアイデアが別の言葉に置き換えられているのに、典拠が示されない場合です。たとえば、 学生が次のような情報をインターネット上で見つけたとしましょう。

年度の初めから、学校はアカデミック・インテグリティの文化を確立し、期待や方針を明確にするよう努めなければならない。

複写とは、上記の文章を、引用符をつけず、引用元も示さずにそのまま複製することです。
問題のある言い換えでは、以下のように別の言葉や別の文構造が使われる可能性があります。

教育機関は、方針や期待を周知し、アカデミック・インテグリティの文化を年度当初から築くことが重要である。

重要なのは、ここでは学生が新たなアイデアを加えていないということです。言い換えの最初のステップである 「オリジナルの考えを自分の言葉で言い換える」ことはできていますが、 もっとも重要な最後のステップである「引用元を示す」を行っていないのです。そこで、正確な言い換えとは次のようになります。

ターンイットインのオードリー・キャンベルのブログ記事「Integrity focused: Building trust between student and instructor」によると、教育機関は、方針や期待を周知し、アカデミック・インテグリティの文化を年度当初から築くことが重要である。

このように書くと、オリジナルの考えを自分の言葉で置き換え、さらに原著者の帰属も示すことができます。前述したように、 書き換えると新たなアイデアを作りだしたかのように感じるかもしれませんが、実際には、他者の考えのエッセンスを取り出し、 新たなアイデアを加えることなく、言葉を並べ替えて同じ意味をもつ別の文を作り出しているのです。

なぜ言い換えが難しいのでしょうか?

学生が言い換えの目的を理解していない場合、言い換えた内容の帰属を示すことの重要性が分からず、 出典を載せ忘れてしまう可能性があります。教員はアカデミック・インテグリティの文化をつくることに細心の注意を払い、 引用元を示してうまく言い換えた一節は、文章をより良くするだけでなく(引用符だらけの論文に比べて、表現豊かな文章になるだけでなく)、 著者のオリジナルの成果を認めることで誠実性を保持できることを学生に説明しなければなりません。

学生が言い換えのための基礎的なライティングスキルを身につけていない場合、意図せずに盗用・剽窃をしてしまう可能性があります。つまり、 他者の考えや言葉を自分のものとして流用する行為が、研究・引用・言い換えを要する論文のなかで発生する可能性があります。 学術不正の疑いがある場合、教員はそれがスキル不足なのか故意の盗用・剽窃なのかを確かめる必要があります。そこから、 学生の読解力と基本的なアカデミックライティングのスキルを強化することで、言い換えに対するスキルと自信を高めることができます。Draft Coachを活用すれば、学生がMicrosoft® Wordやウェブ上のGoogle Docs™のなかで正確な引用を実践するのを支援することができます。

学生が自分のスキルの代わりに短絡的な解決策を故意に、目的をもって使っているのであれば、対策を講じなければなりません。 テキストスピナーと呼ばれる言い換えツールは、盗用・剽窃を検知するソフトウェアを回避するために既存の文章を書き換えます。 このようなツールは学生が本当の言い換えがどういうものかを理解する妨げとなるため、学習に強い影響を与えます。クリスチャン・リーは、「端的に言うと、 テキストスピナーを使用する学生は独自の成果物をつくっていません。独自の成果物とは、たとえ言い換えであっても、 学生が他者のアイデアを自分の言葉や声で再生し、自分なりの概念理解を表現したものです」 と述べています。

まとめ

以上のことが、教員が正しい行動を決断する手がかりとなるでしょう。 たとえば、 正確な言い換えと引用について学生に話すことで、よその情報源から得たアイデアを自分の文章に組み込み、 倫理的に共有するにはどうすればよいのかを学生が理解する助けとなります。こちらの資料では、 「アカデミック・インテグリティ」と「言い換え」を教える方法をいくつか紹介しています。また、ターンイットインの言い換え指導のためリソースパック (英語のみ)では、指導案や授業用プリント、動画などをご覧になれます。アカデミック・インテグリティの重要性を深く理解し、ライティング中に、 いつ、なにを、なぜ言い換えるべきか学ぶことのできる資料を取りそろえていますのでご活用ください。
もし、学生の成果物が、他の文章を類似しているように思われるのに適切な引用がされていない場合はどうしたらよいのでしょうか?学生と勇気ある対話をもち、 不正の瞬間を学びの機会に変えるのに、遅すぎるということはありません。出発点としてTurnitin Feedback Studioの類似性レポートを活用すれば、データを基に対話を進めることができます。結局、 必要なスキルや環境がなければ、言い換えは独自の成果物や真の学びの妨げとなったり、学生を短絡的な解決策に導いたりと、問題になりかねません。 しかし、言い換えスキルの育成を基礎としてアカデミック・インテグリティの文化が確立されていれば、限りない学習成果を期待できるでしょう。