Turnitin Feedback Studioを武庫川女子大学で全学に導入した経緯
教育・研究現場における剽窃の問題や、研究不正等のニュースがメディアで取り上げられる中、武庫川女子大学においても剽窃や研究不正への対策の機運が高まっていた。
また、学生自らの考える力や執筆力の向上を目的とした指導を進める中、学生のレポート課題や論文に対するコピペ問題は、教育現場では向き合わなければならない課題であった。
このような中、教員や事務職員から剽窃チェックツールの導入に関する要望が図書館に寄せられたため、複数社の剽窃チェックツールを検討した結果、TFSの有用性が最も高かった。また、図書館が担当する新入生に対する日本語でのラィティング指導において、TFSの導入が役立つことが期待された。これらの理由から大学本部にTFS導入を提案したところ、TFSの有効性が評価され、導入に至った。
大学附属図書館主導の取り組み
武庫川女子大学では、新入生に対して、主体的な学びや社会人基礎力を醸成するための必修科目を前後期合わせて30コマ用意している。大学附属図書館では、この必修科目内で*前後期2コマずつの講義を担当する等、通常の図書館業務以外に著作権指導や剽窃に関する主幹部門としての役割も担っている。
*「文献と情報活用の倫理」「図書館の活用方法」「図書館を活用した情報収集」「アカデミック・ライティングの基礎」
一部の講義では、指定したテーマで1,000文字程度の文章を作成してもらい、自ら作成した文章をTFSで剽窃チェックする実践的な体験学習を実施している。学生は剽窃チェックの結果を担当教員に提出することで、自らの考えに基づいて文章を書くことの重要性を体感でき、結果的に剽窃行為を抑止する役割を果たしている。
学生の意識に生じた変化
新入生に早い段階からTFSの体験を通して、適切な引用方法や書き方を学ぶ機会を設けたことで、ウェブサイトからの引用方法等、書き方の上達方法に関する質問が新入生から寄せられるようになった。
また、学生だけでなく学内の教員へも良い影響を与えている。新入生を担当する教員にとっても図書館の必修科目は、TFSを知る機会となり、実際にTFSを利用した後、自らの授業でも利用を求める要望が教員から図書館に寄せられる等、TFS利用を促進する役割としても寄与している。
今後の展望
武庫川女子大学では、学生の提出物に対して評価やフィードバックが適切に実施されないことが課題になっており、2019年度より提出物に対する教員からの評価が義務化された。
そのため、図書館では、教員の学生に対する膨大なフィードバック作業の負担軽減等、TFSの有用性を発信することで、TFSの学内での積極的な活用を推奨していく予定である。