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立命館大学 生命科学部の「プロジェクト発信型英語プログラム」に携わる山下美朋(やましたみほ)准教授に、英語教育におけるアカデミック・リテラシーやアカデミック・インテグリティを中心にご寄稿いただく「これからのライティング教育」シリーズのVol.1となります。

今月よりブログを担当させて頂くことになりました立命館大学の山下美朋(やましたみほ)です。今月より数回に渡り英語教育におけるアカデミック・リテラシーやアカデミック・インテグリティなどについて綴っていく予定です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

初回はまず私の自己紹介がてらアカデミック・リテラシーに対する雑感を述べ、僭越ながら現在私が携わっている英語教育についてお話させて頂こうと思います。

豪メルボルン大学で経験したアカデミック・リテラシーの実践方法

私が大学教員になったのは、社会人経験を経て大学院で学んでからですので、かなり遅いスタートでした。
その大学院最後の年にどうしても海外で勉強したい気持ちが募り、オーストラリア・メルボルン大学に一年間、大学院留学をしました。そこでの学びは、その後の私の人生を大きく変えたと言っても過言ではないほど有益なものでしたが、大学で授業を受ける際の心得や学修のきまりを教えるAcademic Skills Unit(新入生向けの大学入学前正課外授業)の充実ぶりには驚きました。

アカデミック・リテラシーを狭義で「レポートや論文を書くときの基本的な技術やきまり」とするならば、それらの授業で、レポートや論文に期待される型やモード、そして剽窃を避けるための引用のルールなどを徹底的に叩き込まれました。課題を提出する前に必ず Turnitinで類似性が30%未満であることを確認し、自分で引用の正しさに責任を持つことは大学生の基本でした。現在は多くの日本の大学で初年次教育としてアカデミック・ライティング授業が導入されており、アカデミック・リテラシーそしてインテグリティの問題が取り上げられていますが、基礎学力の向上と相まってなかなか定着が難しいという課題を抱えています。本来は高等学校から教えられるべきであるのにそうなっていない現状があり、高校から連携した指導が必要でしょう。

立命館大学生命科学部の「プロジェクト発信型英語プログラム」について

さて次に、現在所属している立命館大学生命科学部の英語教育を少しご紹介します。生命科学部は、応用化学、生物工学、生命情報、生命医科の4つの学科からなり、毎年約65%の学生が大学院に進学し、卒業後に研究職を目指す学部です。ここで2008年から独自の英語教育、「プロジェクト発信型英語プログラム」(Project-based English Program: 以降、PEP)を展開しています*1。

1,2年次はSkill WorkshopとProjectで構成されており、前者は外国人講師による4技能統合型のいわゆる英語力を磨く授業ですが、私たち日本人教員が行いプログラムの中核をなすのがProjectです。学生の興味関心の対象すべてがProjectですが、関心事を掘り下げ、仮説をもとに実験やアンケートなどを実施し、仮説を検証する、その一連のプロセスいわゆる研究そのものを学生は経験します。そして、その成果を英語で、しかもパワーポイント、ポスター、動画など様々なメディアの形態で発信しています。1,2年次は高校時代のクラブ活動などの身近なトピックから始まりますが、3年生にもなると「お茶に含まれるカテキンの効能」「プラスチックを分解させる昆虫が持つ酵素」など科学的に専門性の高い内容となり、本格的な実験を行う学生たちも出てきます。

PEPの授業では1年生の初回授業から原稿を見ずに半ば即興でも英語で話ができるように発表の機会を重ねます。またどのような発表が聞き手の心を動かすのかについても学習します。そのため1回生の頃は人前で話をするのもドキドキだった学生が成長して堂々と英語で発表できるようになり、3年生後期の研究室配属後も学会などで物怖じせず発表できるようになるのです。

本プログラムで大事にしているのは、「学生の好きなことをやらせる」、「教員は介入せず、教えない」です。
教員側は、学生が好きなようにできるよう箱を与えはしますが、その中で何をするかまでは介入しません。

日本の教育では、指示を守って学習を続けてきた学生が多いように思います。そういう学生でもPEPで自分は何をするのが好きなのか、自分自身とじっくり向かい合い本当に伝えたいと思うことをテーマにすればとても良いものを作り上げてきます。このような学生の成長を支えるPEPの教育キーワードは Active LearningとICT です。前者は、学生同士の学び合いのことですが、プロジェクトの内容を決める段階から発表まで他の学生からのフィードバックを授業内外(授業外では立命館大学のLMSを通じて行います。)で行い、学生同士の学び合いのダイナミズムを利用しています。

また、パワーポイントや動画など様々なメディアで発表し、YouTubeや facebook などで発信しています。現代の学生はこのような ICTツールとの親和性が高く、教員の指導を待たずとも動画などを取り込んでダイナミックな発表をします。このように Project の教育が目指しているのは、真に自律的かつ創造的な学習者なのです。

2020年度はコロナ禍で、大学ではほとんどの授業がオンラインとなりました。与えられた課題を自分自身で管理してこなす必要性が生じ、ますます自律的な学習者が求められるようになりました。プロジェクト発信型英語授業が志向している学習者主体の真の学びが問われる時代となっていると思います。

山下美朋 准教授
立命館大学
生命科学部 生命医科学科

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*1: プロジェクト発信型英語プログラムについては「プロジェクト発信型英語プログラム 自分軸を鍛える「教えない」教育」北大路書房, 2020 または本プログラムホームページ(http://pep-rg.jp/)を参照。2021年度時点では、生命科学部・薬学部・スポーツ健康科学部・総合心理学部の4学部で展開している。