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なぜハゲタカジャーナルが存在するのか

研究を取り巻く環境は、年々、競争が激化しています。UNESCOの研究によると、Web of Scienceに掲載されている科学論文の数は、2008年から2014年にかけて23%増加し、2013年に780万人と記録された研究者数も、2030年までに大幅に増加する見込みです。

しかし、研究数が増加しているにもかかわらず、権威のある学術誌の数に大きな変化はありません。さらに、それらの学術誌はアクセプト率(採択率)が10〜15%と低く、研究者にとって厳しい状況となっていますが、研究者はキャリアを発展させ、研究機関でのテニュア(終身在職権)や研究資金獲得に向けて、論文を発表することが重要であることに変わりありません。

著名な学術誌に論文が受理されることで研究の露出とインパクトが増加するかが、研究者としてのキャリアに与える影響は大きく、研究成果の認知度が低い研究者は、生産性が低いと思われることもあり、将来のプロジェクトへの研究資金が減額されるなどの可能性があります。

研究成果のアウトリーチ増加、学術研究の発展の促進を目的として、オープンアクセスジャーナルが誕生しました。オープンアクセスジャーナルは、とくに若手研究者や、自分の研究の露出を増やしたい研究者に出版の機会を与えています。ベストプラクティスを推進する、善意のオープンアクセスジャーナルは、研究コミュニティに大きな恩恵をもたらしてきました。

他方、オープンアクセスジャーナルの急増により、ハゲタカジャーナルも生まれました。それらは、粗悪なジャーナル、クローンジャーナル、偽ジャーナルとも言われています(Beall, Nature 2012)。そのようなジャーナルでは査読が行われず、出版のための編集作業も最低限か、あるいはほとんどされない場合もあります。要するに、主に著者から出版料をせしめるためにハゲタカジャーナルは存在しているのです。

ハゲタカジャーナルが研究公正に与える影響とは

より多くの研究成果を発表する機会を研究者に提供するためにつくられた空間が、ハゲタカジャーナルに利用されているのは残念な事実です。では、ハゲタカジャーナルとはどのようなものなのでしょうか。

ハゲタカジャーナルの特徴として以下の点があげられます。

・査読の欠如、あるいは査読の偽り(Bohannon, Science, 2013)

・編集プロセスの欠如、あるいは最低限の編集

・論文処理料金に関する情報の隠匿

・編集委員会の詐称 (Sorowski, et al., Nature 2017)


ハゲタカジャーナルのこのような特徴は、研究公正に長期的な影響を与えます。
その悪影響は無数にありますが、たとえば以下のようなものが考えられます。

・虚偽の査読および査読の欠如は、研究の妥当性の検証機会を逃す。出版された研究は証拠として扱われるので、好き勝手に出版された論文は研究公正の価値を損なう

・低品質な研究成果は、とくに医学分野において、危険な医療行為につながる可能性がある(Taylor, 2021)

・多くのデータベースは低品質なジャーナルを索引に載せないので、ハゲタカジャーナルで出版された論文は検索されず、見逃される可能性がある(Moher, et al., Nature 2017)

・ハゲタカジャーナルのなかには、研究者から料金はとるが当該論文を出版しない、という「詐欺」をはたらくものもある (Elmore, et al., 2020)


ハゲタカジャーナルという抜け道は研究公正を損ないます。つまり、「このようなハゲタカジャーナルの台頭は学問の質を脅かす。信頼できる編集委員会がなければ、不備の可能性がある論文の出版がますます大きな問題になる。また、そのような慣習はオープンアクセス運動に汚名をきせる恐れもある」のです(Sorowski, et al., Nature 2017)。

歴史的に見ても、研究とは共同で行うもので、複数の著者、研究機関からの支援、査読という理想を形にして、組織を越えた信頼のネットワークを築いてきました(Hanson, Integrity Matters Podcast, 2022)。ハゲタカジャーナルが研究競争を利用して外部からの監視や査読を実施しなければ、未検証の情報で議論をかき乱す可能性があります。その結果、研究そのものの公正性が脅かされてしまうのです。

ハゲタカジャーナルを避け、研究公正を保持するためには

研究公正を保持するためには、ハゲタカジャーナルを回避しなければなりません。研究が敬意をもって適切に扱われ、共同査読が実施されるかを確かめるためにジャーナルを選別することは、研究そのものに末永く寄与します。さらに、学術界で確かなキャリアを築くことにもつながります。

では、ハゲタカジャーナルをどのように避ければいいのでしょうか?

・定期刊行物のジャーナル・インパクトファクターを確認し、 Journal Citation Reportsでジャーナルの評判や継続期間をチェックする(Gillis, 2017)

・ジャーナルがデータベースの索引に登録されるかを確かめる。 PubMedCentral や Web of Science を参照する(Clark, 2015)。

Think. Check. Submit.  が推奨しているような、ジャーナル投稿のためのチェックリストを活用する。 

・論文投稿前に、そのジャーナルに掲載されている論文をいくつか読んでみて、文法やつづりの間違いがないかどうか、ウェブサイトが専門的にまとめられているかを確認する

・勉強中の研究者に、ハゲタカジャーナルを避け、認知度の高いジャーナルに掲載されている論文のみ参照するようアドバイスする(Wallace, 2019)

・若手研究者は、賛否両論あるものの「口コミ」でブラックリストを知ることで、論文投稿に不適切な出版社を特定する(Strinzel, et al., ASM, 2019)


以上の行為により、研究者はハゲタカジャーナルを避け、自分の研究とキャリアを守ることができるでしょう。また、ハゲタカジャーナルを避けることで、そのような出版社の力を弱めることにもつながり、次のような効果が期待されます。


・研究機関からの情報発信を高水準に保つ

・研究枠組みの公正性を保持する

・研究機関としての信用を守る

・研究は先行研究の上に成り立つものであるので、正確な研究を積み上げる

研究活動の拡大に伴い、学術出版業界も進化し続けるでしょう。研究者による貢献はより良い世界を築くために欠かせません。そのためには、ハゲタカジャーナルを認識し、それらを避ける方策を取っていくことが今後も重要です。


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