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ルーブリックとは成績付けやテストの採点のための評価基準のことです。テスト前に教員と学生の間でルーブリックを共有することで、学生は自分たちがどのように評価されるのか、どのような知識を証明すべきかを知ることができます。また、ルーブリックによって採点や学習評価の根拠が明確になるので、学生は自分がなぜその点数・成績をとったのかを理解することができます。つまり、質の高いルーブリックは学生の学びを促します

より良い教育へと変えていくのためには、ルーブリックの歴史を考慮することも大切です。現状に到達するまで、私たちはどのような道をたどってきたのでしょうか? いつ、ルーブリックが普及したのでしょう?そもそも、ルーブリックはどのような目的でつくられたのでしょう?

ルーブリックの語源と始まり

「ルーブリック」という言葉が最初に使われたのは、中世の彩飾写本です。各セクションの見出しや最初の文字、重要な聖人の名前などが赤インクで書かれ、それがルーブリックと呼ばれていました(語源の”ruber”はラテン語で「赤」を意味します)。

ブルックスは2018年の論文で次のように述べています。

「ルーブリックは当初、文章の分析ツールとして提唱された。1912年、生徒の作文の評価基準を統一するための手段としてルーブリックを活用することを、ノイズが次のように提案したのだ。『生徒の作文の評価は、個人的な見解の影響力が大きく、採点者によって採点結果が異なる。必要なのは、個人の意見に左右されず、だれがどこで採点しても同じ結果を導きだす、明確で具体的な評価基準だ』(Noyes, 1912; Turley & Gallagher, 2008, p.88)」

1990年代になると、アメリカでは「スタンダードに基づく教育改革」が義務づけられ、施行されるなかで、ルーブリックの活用が一般的になりました。事実、「ルーブリック」という言葉が、「採点基準」を意味する教育学の用語として定着し、学生と教員間で共有されるようになったのはまさにこのときでした。

著名な教育学者、トーマス・R・ガスキーも、「ルーブリックへの関心が高まったのは1990年代のことで、教育者たちが、生徒の学習成果を具体的なスタンダードに沿って記録するようになった。今では、生徒のパフォーマンスを記述・評価するルーブリックは、幼稚園から大学、専門学校まで、あらゆる教育機関で活用されている」と述べています。

アメリカ合衆国連邦のガイドラインに沿って、各州では、連邦の定めたスタンダードに対する生徒の学習到達度を測定するために、新たな評価方法が開発されはじめました(Weiss, Knapp, Hollweg, & Burrill, 2002, p. 59)。そして、個々の授業において、到達義務と学習目標を達成するために、スタンダードとルーブリックが使われはじめました。

ルーブリックの進化

それ以降、ルーブリックは、様々な教育方法やアプローチに基づいて、より洗練された形へと進化してきました。パフォーマンスの全体像を記述した一般的なルーブリックだけでなく、パフォーマンスの諸側面をより詳細に記述したルーブリックや、特定の習得項目に特化したルーブリックもつくられています。ルーブリックの種類がどのようなものであれ、その効果は以下のように示されています。

「高等教育におけるルーブリック評価の活用は、学生の学びを多くの側面から促進する(Wolf & Stevens, 2007)。ルーブリックは評価の質を向上させるだけでなく(Arter & McTighe 2001)、一般的な学習ルートを経ていない学生や移民一世の学生、人種的・民族的にマイノリティの学生への教育を向上させる可能性がある(Wolf & Stevens, 2007)。さらにルーブリックは、効果的な学習評価システムになくてはならない要素となり、学習プログラムの改善や大学認可に寄与する可能性もある(Angelo 2002)」(Wolf, Connelly, & Komara, 2008)

ルーブリックの活用は世界的にも広がっています。その理由に、ルーブリックにフィードバック・プロセスを改善する効果があることがあげられます。シンガポールの研究者、ラグパティとリーは「形成的評価の重要性の高まりにより、学習の質的な評価に焦点を当てるルーブリックの活用が、高等教育機関においてますます促進されるようになった。ルーブリックと採点基準を活用することで、学生は、何が、どのような基準に基づいて評価されるのか、どのような水準が求められているのかを理解することができる」と述べています(2020, p. 73)。

アジア諸国におけるルーブリックの活用

世界各国の教育現場をみると、学術界でのルーブリックの活用はさまざまな段階にあります。文化的な背景がルーブリックの活用に影響を与えることがあり、その傾向はアジアに顕著です。
2019年の“Under a Top Down Rubric Policy: The Perceptions and Actualisations of Assessment for Learning and Rubric in Higher Education in Hong Kong”(トップダウンのルーブリック方針のもとで:香港の高等教育機関における、学習評価とルーブリックに対する理解と具現化)という論文のなかで、著者のチョン・イン・ケイ(莊硯琦)は香港の大学におけるルーブリック評価の課題を次のように述べています。

「基本的なレベルでは、生徒にルーブリックの評価基準を説明し、生徒の学びに役立たせるために、教師自身が学ぶ必要がある。そして、方針を立てたり改善したりする際に、すべての関係者が関わるよう提案したい。様々な利害関係者の意見を取り入れることで、共通理解を得て実施することが容易になるだろう。この提案モデルは、本研究の対象である大学に限られたものではあるが、香港の大学や、儒教文化の影響のもとでグローバル化の主流からはずれている国など、似たような特徴を持つ国の大学にも示唆を与えるだろう」(p.192)

アジアの他の諸国においても、新たな教育スタンダードの設定に伴って、ルーブリックの活用が検討され始めています。「日本では、2000年代半ば以降ルーブリックが大きな注目を集めているが、まだ比較的新しい概念である。文部科学省による2011年の大学設置基準の改正に伴い、日本の大学はルーブリックやそれに類似したツールに大きな関心を示すようになった」(Ito, 2015 p. 39)と言われています。

伊藤氏は、“Is a Rubric Worth the Time and Effort? Conditions for Success,” (ルーブリックには時間と労力をかける価値があるのか? その成功の条件)と題する論文のなかで、様々な課題があるものの、ルーブリックが学習を促進し、指導の指針となることを述べています。ルーブリックの活用はベストプラクティスとして、教員がこれまでの指導方法を見直し、学生を中心とした本物の学びへと転回するチャンスとなります。

学習評価の改善

学習評価は、学生の学びの過程に組み込まれているため、ルーブリックを活用すると学習評価も改善されます。ウルフとスティーブンスの2007年の論文“The Role of Assessment in Advancing and Assessing Student Learning”(学びを測定し、促進させる学習評価の役割)で次のように示されています。

  • ルーブリックは、学習目標をより明確にする
  • ルーブリックは、指導の計画と実施の指針となる
  • ルーブリックは、より正確で公平な評価を実現する
  • ルーブリックは、自己評価や、学生間のフィードックのためのツールとなる
  • ルーブリックは、人種的・民族的にマイノリティの学生や一般的な学習ルートを経ていない学生の学びを促進する可能性がある

教育に未来のイノベーションを求めるとき、ルーブリックが教育現場でどのような道をたどってきたのか、その過去を振り返ることも重要です。ルーブリックは、公平で正確な評価を保証し、誠実なエンドツーエンドの学習評価を促進します。そして、学習目標を達成するためにも、ルーブリックを使った教育方針は今後も続くでしょう。