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教員は毎年、オンラインであれ対面であれ、新たな学生たちを授業に迎えいれています。どの学期も、学生と教員が互いに初対面である白紙状態から始まります。新しい授業の始まりは、希望や期待、そして緊張とスリルに満ちたものです。 教員は、コミュニケーションの方法を確認し、学習目標と期待値を明確にして学生と共有します。
そんななか、もっとも避けたいのは、不信感とともにスタートを切ることでしょう。しかし、過去に傷をかかえている教員は、クラスの誰が「トラブルメーカー」になりそうかを考えてしまい、意識的か無意識のうちに、先入観が授業運営に影響することもあります。 

教員は、学生のなかには、つい道を踏みはずしてしまい盗用・剽窃、カンニング、論文代行などに誘惑されやすい人や、短絡的な「回避策」に陥りやすい人がいる現実を理解しています。また、盗用・剽窃をしそうな学生は誰か、論文代行に引っかかりやすそうな学生は誰かを考えてしまうこともあります。どの学生が共謀するだろうか?テストバンクを検索する学生は?類似性を避けるためにワードスピナー(言い換え機能)を使用する学生は誰だろうか? と過去の経験から心配をしてしまう教員もいるかと思います。

しかし実際には、不正行為を起こしてしまう学生には、心理的あるいは学術的に苦労している学生という傾向があり、そのような学生の苦しみは、教員の指導やカリキュラムによって軽減できることも事実です。

重要なのは、なぜ学生が「不正行為」という短絡的な解決策をとってしまうのかを考えることです。 

不正行為が起こり得る要素

多くの場合、不正行為の動機は内面的なものだと言われています。また、不正行為を助長するものは数多くあります。学生は、以下のような環境下に置かれた時、不正の心理的きっかけとなる“動機”に結びつきやすいようです。

  • 与えられた課題に価値を見いだせないとき
  • 完璧さに対するプレッシャーや、失敗への恐怖心をもっているとき
  • 学習の次のステップがわからないとき
  • 「頭が良い」との評価を周囲から与えられてきたため、その期待に見合った成績を取らなければならないと感じているとき(Simmons, 2018
  • 個人的なストレスや危機が過剰な負担となるとき(Subin, 2021
  • アカデミック・インテグリティ(学問と研究における誠実性、公平性、一貫性)に関する知識が不足しているとき


これらの要素は、学生が不正を起こしてしまう理由の一部にすぎません。 

アカデミック・インテグリティ研究の第一人者であるデビッド・レッティンガー博士によると、学生は自分自身を不道徳であると思いたくないものです。事実、「課題に価値を見いだせない」などと言って、自分の不正行為を正当化しがちです(Simmons, 2018)。教員が不正行為であることを指摘しても、かれらはそれを不正だとは思っていないのです。したがって、学生に学びの重要性を認識させ、不正行為を回避させるようにするためには、アカデミック・インテグリティについての明確な知識が必須です。さらに重要なのは、共通の定義にもとづいて学習を支えることです。アカデミック・インテグリティの基礎的な知識をもっていると、学生は自分の短絡的な解決法を正当化しづらくなります。また、教員が学生の視点を理解すると、かれらの学習をどのように支援すればよいのか分かります。

知識不足こそが学生を不正行為に陥らせます。また、アカデミック・インテグリティは西欧的な理想に沿ったものであるため、教育を受けるために海外から渡航した留学生は、自国の文化からの移行に苦労するかもしれません。さらに、学業成績が個人の評価と直結する文化的背景のもとでは、外国語に苦労する留学生にとって学習自体が非常にリスクの高いものとなり、プレッシャーを感じることもあるかもしれません。 

不正行為に手を染めてしまいそうな要素の学生に対して基礎となる支援を行うことが、アカデミック・インテグリティを保持するうえで必要不可欠です。学習内容を習得するために学生が何を必要としているのかを理解することは、疑惑をもつこと、つまり、敵対的で懲罰的な姿勢で臨むこととは明らかに異なります。 

不正行為を起こさせない学習環境作り

では、どのように不正行為を犯すリスクの高い学生を支援し、そのような学生を正しい道に戻せるのでしょうか。誰がリスクの高い学生かはすぐに分かるわけではありませんが、学習との断絶状態やストレス、プレッシャーなどのリスク要因は明らかです。それらの要因を軽減することが学生を支援し、アカデミック・インテグリティに対する態度を育てることにつながります。さらに、リスクの高い学生を支援することで、深刻な不正問題と、その結果としての懲罰を予防することにもなります。これは、学生にとっても教育機関にとってもメリットになるでしょう。学生は独自の思考力を身につけて卒業できますし、教育機関は大学としての評判を守ることができ、さらに言えば、経済的な打撃をうけなくてすむからです。

ハーバード教育大学院の研究では次のことが指摘されています。「若いインフォーマントらが思い描くのは、学生のニーズを聞き取って対応する、垂直的な支援だ。かれらは、個々の学習スタイルや目標の包括的な支援をとおして、教員が倫理的な行動を根付かせることを望んでいる」(Goldman, 2016)。

以下の方法は、特定の個人を対象としたものではなく、予防的で、より全体的な性質をもちます。

  • 授業に対する学生の帰属意識を高める
    熾烈な競争環境「注意しない先生」との認識が学術不正につながります。他方で、「見られている」という実感をもち、授業コミュニティにつながりを感じる学生は内発的に動機付けされ、持続的に学習に取り組みます。
     
  • アカデミック・インテグリティと学術不正について明確な定義を示す
    何が不正行為にあたるのかを知らない学生が、不注意から不正行為をしてしまうのを防ぐことにつながります。さらに、明示的な指導を行うことで、教員が学問的な誠実さを意識して大切にしていることを示せます。ターンイットインの盗用・剽窃 Spectrum 2.0が意識を高めるのに役立ちます。 

  • 学生と学習をつなぐ学習評価を設計する
    ローステイクス・テストを頻繁に実施することで、学生は「安全に失敗」し、次の学習へのステップを学ぶことができます。このタイプの評価は、教員が学生の学習状況を把握するのにも役立ちます。多くの問題形式を用いることも、多様な学びを測り、さまざまな学習スタイルを支援することにつながります。オンライン試験の監督に関するICAIのパネルで、オーストラリアのニューイングランド大学でデジタル教育のプログラムディレクターを務めるジェニファー・ローレンスは、研究成果をまとめて、次のように述べました。「私たちの発見すべてに関わることの1つは、結局は評価設計に戻ってくるということです。プライバシーに関する学生の懸念を解消するような学習評価を設計すればいいのです。特定の問題形式に本当にストレスを感じる学生が大勢いるなら、それは危険信号なのでしょう」(The International Center for Academic Integrity (ICAI), 2021)。

  • アカデミック・インテグリティの文化を促進する
    学生は同調圧力に屈することもあります。不正行為に対して「みんながやっているから」という考えが学習を阻害します。そのような環境に対抗する方法の1つは、学内や授業においてアカデミック・インテグリティの文化を根付かせることです。全体のなかで複数のポイントを設定するかは自由ですが、いずれにせよ、オーナーコードや定義の統一、盗用・剽窃を防ぐソフトウェアなど、アカデミック・インテグリティの構造が見えるようにすべきです。 

誰もが、不正を犯してしまう因子は持っており、魔が差してしまえば不正を犯してしまう可能性があります。しかし、適切なサポート体制と、学生が「見られている」と実感できる文化を築ければ、学生にとって学習そのものがゴールになります。そうすると、不正行為という短絡的な解決策を、身近で実行可能なものとは思わなくなるのです。このように、不正行為を起こさせない学習環境作りをし、学生をサポートしていくことが今後も求められていくでしょう。

【アカデミック・インテグリティ特集ページ】 学問と研究における 誠実さの重要度の理解と実践