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立命館大学 生命科学部の「プロジェクト発信型英語プログラム」に携わる山下美朋(やましたみほ)准教授に、英語教育におけるアカデミック・リテラシーやアカデミック・インテグリティを中心にご寄稿いただく「これからのライティング教育」シリーズのVol.3 となります。

今回は、ライティング指導におけるフィードバックについて書きたいと思います。大学でライティング課題を与えたときには、書いたのものをすぐに評価するのではなく、プロセス・ライティングの手順を踏むことが多いです。まず、書くべき内容をじっくり練るpre-writingを行い、初稿を書く、それを教師やクラスメートに見てもらってコメントをもらい(teacher feedback or peer feedback)、そのコメントをもとに必要な修正・加筆を行い最終稿とします。書くべき目的や読み手を意識して書くように指導はしますが、やはり読み手の立場からフィードバックをもらうことは、独りよがりな内容になりがちなライティングにおいて非常に重要なプロセスの一つです。

学生のエンゲージメント

フィードバックを誰が、どのタイミングで、どのような方法で行うかについてこれまでに様々な研究が行われてきましたが、学生の積極的な態度を喚起する教師のフィードバックに、学生のエンゲージメント(student engagement)が大きく関与しているとした研究(Ferris, Liu, Sinba00 & Senna, 2013)があります。学生エンゲージメントとは、学生がどれだけ学習に関与していたかということですが、自分のテキストをより良いものにしたいという意欲や学びに対する積極性の高い学生ほど、教師のフィードバックを受け入れる傾向が見られたのです。エンゲージメントの高い学生を育てるためには、フィードバックが効果的でなければなりません。

そのためには、教師は学生にライティングタスクの学習目標や評価項目を明確に示し、フィードバックの目的をはっきりさせておく必要があります。本来、フィードバックの目的は、学生自身がより良いテキストにするために自分で修正する力を身に着けさせることですから、間違いをすべて修正して返すと却って学生の意欲を削いでしまうかもしれません。


ライティングフィードバックの効果

ライティングフィードバック研究で有名なHyland (2019)は “It seems that students try to use most of the usable feedback they are given (p.174)” [学生は(自分が)使えると感じたフィードバックのみ取り入れる]と述べており、学生がなぜ修正されたのかきちんと理解することこそ大事なのです。一方で、多くの学生を相手にしている教師にはフィードバックは非常に骨の折れる作業になりがちです。文法などの基本的な間違いはTurnitinのFeedback Studioを利用するなどして、学生自身が修正し、教師は論理面だけをコメントするなど大いに使えるリソースを利用していくのが良いでしょう。

また、Hyland (2019)はフィードバックの与え方が、教師と学生の関係に大きく影響を及ぼすとも述べています。画一的なコメントではなく、personalized commentsつまり、個々の学生に適したコメントを与えるのが良いそうです。否定的な修正コメントばかりですとやはり意欲が下がりますし、逆に褒めてもらえると嬉しいものです。私は、学生の良い文章はテキストは授業で多いに取り上げて、「上手に書けているよ」と具体的にコメントをしています。よくできた箇所を具体的に示すことにより、学生がどのように書くと良いか自覚することができ、学習に対するモチベーションの向上にもつながります。

2020年度以降、大学ではオンライン授業となりましたが、ライティング授業でのフィードバック活動は行いやすいように思います。Zoomのbreakout機能でテキストを共有して学生同士で評価をさせたり、全体ルームでテキストを見せながら教師が修正を施すなど、むしろ対面授業よりも活発に行われたのではないでしょうか。また、フィードバックを行った授業ほど学びが大きかったとする調査結果も出ました(立命館大学独自調査による)。

 フィードバックを効果的にするための研究や試みはまだ続いています。新しい研究結果などを紹介していきたいと思います。次回は、フィードバックに大きく関与しているライティング・センターについて書きたいと思います。

山下美朋 准教授
立命館大学
生命科学部 生命医科学科

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【引用文献・資料】    

Ferris, D. R., Liu, H., Sinba, A., & Senna, M. (2013). Written corrective feedback for individual L2 writers. Journal of Second Language Writing, 22, 307−329.

Hyland, K. (2019). Second language writing (2nd ed.). Cambridge University Press.

RITSUMEIKAN UNIVERSITY INSTITUTE FOR TEACHING AND LEARNING NEWS http://www.ritsumei.ac.jp/itl/assets/file/publication/nl/vol50.pdf