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論文代行(小論文代行業者や友人、家族などの第三者に作成してもらった提出課題を、自分の成果物として提出すること)は、学術不正のひとつです。私たちは、論文代行の利用が学びを阻害することを明らかにしてきました。今では世界中のあちこちで論文代行に反対する法律や活動が見られるようになりました。 

学術研究において、論文代行の類義語としてより広く使われている言葉に「ゴーストライティング」「ゴーストオーサーシップ」というものがあります。 

研究におけるゴーストライティングとは

ゴーストライティングという言葉は、名前が示されない人物により書かれた学術論文を指します。この行為に関わる第三者は、研究に密かに影響を及ぼす業界の民間企業が雇った人物であることもあります。

ゴーストライティングには、第三者によって書かれた論文すべてを自分の功績にする行為や、研究に参加していない「名誉著者」を著者として載せる行為、研究に参加した若手研究者の名前を載せない行為が含まれます。研究や論文執筆に参加していないにも関わらず論文に名前を記される著者は「名誉著者」「ゲストオーサー」と呼ばれ、これも不正行為のひとつです。 

ゴーストライティングの最もひどい例は、業界の代表人物が、研究に一切関与していないにも関わらず、その論文を書いたとする行為や、研究者や著者が知らない製品について、業界が宣伝のために研究成果を取捨選択して論文にする行為です。 

メディカルライティングの世界においても、ゴーストライティングが問題にあがることがあります。製薬会社が製品の宣伝や認可申請のために研究者と協力するのはよくあることで、事実、そのような行為を合法的に行うことは戦略的パブリケーションプランと呼ばれています。しかし、研究協力が公表されない場合、その研究は不正行為になってしまいます。研究者たちは、「学術論文のゴーストライティングへ非難が集まるのは当然であり、また、そのような行為は非倫理的で危険だとも思う」と述べ、共同研究そのものが問題なのではなく、「これらの共同研究が偽装され、操られ、薬を売るために利用される手口が問題なのだ」と示しています  (Moffatt & Elliott, 2007)。 


なぜ研究のゴーストライティングが蔓延するのか

数々の研究が、ゴーストライティングやゲストオーサーシップが研究界に蔓延していることを示しています。Nature誌に掲載された論文によると、参加した科学者の10.0% が「オーサーシップの不適切な割り当て」に関与しており、中堅キャリアの研究者にいたっては12.3%が関与を自認しています (Martinson, Anderson, and de Vries, 2005)。より最近の、2011年の研究では、「査読付き雑誌3誌のなかで、名誉著者やゴーストオーサーが見られた割合は、前者が14.3% で後者が0.9%であった」ことが示されています。 (Dotson & Slaughter, 2011)。さらに、2002年のコクランの研究では、 論文の39% に「名誉著者」が、9% に「ゴーストオーサー」が認められました (Mowatt, et al., 2002)。 

それらの具体的な数字は異なりますが、様々な重圧のもとでゴーストライティングが行われていることが証明されています。

ゴーストライティングは、経済的なチャンスを広げる手段のひとつとして捉えられています。企業に雇われているメディカルライターにとって、それはキャリアを積むチャンスになります。学術研究者にとっては、企業との共同研究は名声や資金援助につながるかもしれません。そして学術界との関係を築くことは、「企業のスポンサーにとっては、製品を宣伝するための世界的なパブリケーション戦略の一部」となっています (Bosch & Ross, 2012)。

研究の性質そのものが曖昧さを生むこともあります。共同研究は、学術の世界で成功するために欠かせない要素となっています。また資金調達も、たいていの場合、関連する企業と結びついています。しかし、こうした協力関係が境界線を曖昧にすることが多いと言えます。

共同研究に対する認識が広まったことにより、複数の著者で研究論文を書くことが奨励されてきました。とくに著名な学者の名前を論文の共著者に加えることで、研究者は自分の研究成果の評判を高め、より権威のある学術誌での掲載の可能性を広げ、より多くの読者を獲得しようとする試みも一部で見受けられます。

実際、2009年の研究で次のように述べられてもいます。「問題のひとつは、著者の名声が論文の信用性を高めることだ。かつて、同僚のひとりが話してくれたことだが、彼の国では、十分な報酬をもらえればどんなものにでも名前を貸す教授もいるので、研究論文の手法を知るよりも著者を知る方が重要であるそうだ。また、ひとりの著者による薬品のメタ分析で、その著者の能力をはるかに越えた高度な分析が書かれた論文を見たことがある。誰が分析をしたのか(おそらく、誰がその論文を書いたのかも)まったく触れられていなかった。同様に、多くの薬品レビューは表記の著者によって書かれたものではないだろう。それらの教授は、スポンサーのサプリメントや、ほとんど読まれることがなく、インパクトファクターもない周辺雑誌のために、一冊の本ほどの長さの薬品レビューを書くより、もっと重要な仕事があるはずだからだ」(Gøtzsche, et al., 2009)

そのような「名誉著者」や「ゲストオーサーシップ」がゴーストライティングと結びついてきました。学術不正は「滑りやすい坂道」で、一歩間違えると転落しかねません。 

ゴーストライティングの慣例が増加している理由は、それが、明白な研究不正ではなく、軽微な不正であると見なされることが多いからです。(他方で、盗用・剽窃は明白な倫理違反です。)そのため、経済的な報酬やキャリア上の利点を目の当たりにすると、罰せられるリスクよりも、ゴーストライティングに関与する方が得られるものが大きいと判断すると言えます。


ゴーストライティングがアカデミック・インテグリティに与える影響

著者が企業と協力しているのにその協力関係を公表しなければ、研究の誠実性が失われ、その結果、信頼が毀損されます。 

透明性は研究公正の大切な要素です。誰が論文を書いているかを知り、バイアスや影響を明らかにすることは、正確な研究結果や結論に欠かせません。メディカルライターのラングドン-ニューナーは、「研究内容に利害関係のある製薬会社が雇ったメディカルライターがゴーストライティングした論文に関しては、一部の記事で誤解を招くスキャンダルが明らかになって以降、問題になってきている」と述べています(Langdon-Neuner, 2008)。

広告にはその製造者の名前が明示されるのに対し、ゴーストライターにより書かれた論文は提携先を明かしません。それら2つを混同すると、医師や政策立案者がくだした医療的な判断が、健康に影響を及ぼすようになるかもしれません。 

科学コミュニケーションと科学的な客観性が、研究とマーケティングを明確に分ける境界線となります。モファットとエリオットは、科学的な客観性を保持することの必要性を主張します。「科学的な客観性へのアプローチのひとつとして言えることは、科学的な手続きにより客観性が保たれる、ということだ。この見方によると、科学的客観性の根本は、科学者が研究成果を発表して議論を行う、その方法のなかにある。ヘレン・ロンジーノは2001年に、科学コミュニケーションは、その手順がオープンで論争可能であるかぎり客観性が保たれる、と述べた。しかし、ゴーストライターにより書かれた論文は、その科学的なデータへの評価や反論を難しくする形で、著者とスポンサーの利益を隠し、科学そのものの客観性を損なっている」 (Moffatt & Elliott, 2007, p. 27)

ボッシュとロスはさらに踏み込んで、「ゴーストライティングとゲストオーサーシップは研究不正のひとつであり、隠蔽、実績の偽造、帰属のねつ造を含んでおり、研究コミュニティが受け入れる慣習から意図的かつ大幅に逸脱しているので、広範囲で非難されてもおかしくない」と述べています (Bosch & Ross, 2012)。

実務家や政策立案者が研究に基づいて決定をくだすとき、その研究の透明性と正確性が担保されていなければなりません。ゴーストライティングの影響は広範囲に及びます。著者情報という重要な情報を取り除くことで、研究の誠実性が損なわれ、そのデータが、政策決定の根拠やさらなる研究の基礎としてどのように扱われるかに影響が出るのです。 

ゴーストライティングが研究公正に与える影響を軽減するために

まず、意識を高めることが研究論文におけるゴーストライティングの発生を防ぐ第一歩となります。無自覚な研究者は、ゴーストライティングが不正行為であると理解すれば、不正に手を染めることを思いとどまるでしょう。そして、意図的にゴーストライティングに関与している人は矢面に立たされると、研究不正を行う可能性が低くなります。

また、学術誌は出版に際して、誰が何に貢献したかを明確に表明するよう要求することで、抑止の一端を担えます。加えて、私企業が執筆に貢献したのであれば、それも明示するよう著者に要求することができます。ゴーストライティングを非倫理的なものにするのは、企業との協力体制ではなく、そのパートナーシップに関する透明性の欠如です。メディカルライターの名前を明記することで、利害の衝突を明らかにし、かれらの貢献を正当なものにできます(Yadav & Rawal, 2018)。

研究者の意識を高め、学術誌側も抑止に協力するという最初の第一歩を踏み出し、 組織的に取り組むことで、研究に関するリサーチ・インテグリティ(研究公正)の強い文化を築けるでしょう。ゴーストライティングは研究不正であると規定するよう大学側に働きかけることも、オーサーシップの重要性を強調するひとつの方法です。他の組織レベルでの関与としては、ゴーストライティングを管理するための常任委員会やタスクフォースを設置することも考えられます(Bosch & Ross, 2012)。

なかには懲罰的な提案もあり、製薬会社への訴訟でゴーストライターとゲストオーサーの名前を被告側に連ねることを慣例化しようというものまであります (Moffatt & Elliott, 2007, p. 29)。たしかに、そのような方策は抑止力になるでしょう。これまで懲戒規定がなかったことがゴーストライティングの蔓延につながっています。盗用・剽窃は論文撤回と名誉毀損につながります。ゴーストライティングについても同様の事態が生じるべきです。

リサーチ・インテグリティ(研究公正)の問題すべてに言えることですが、そのような違反が懲罰ではなく、教育により回避されることを私たちは望んでいます。ゴーストライティングに注目を集めることで、自覚していない研究者は、ゴーストライティングが不正行為であると理解すれば、不正に手を染めることを思いとどまるでしょう。


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