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立命館大学 生命科学部の「プロジェクト発信型英語プログラム」に携わる山下美朋(やましたみほ)准教授に、英語教育におけるアカデミック・リテラシーやアカデミック・インテグリティを中心にご寄稿いただく「これからのライティング教育」シリーズのVol.2 となります。

今回は、ライティング教育を語るときに避けては通れない「剽窃(plagiarism)」について自分なりの考えを書いてみたいと思います。私は、大学で学生に英語のレポートを課すことがありますが、度々論文の一部などを原文のままコピー・アンド・ペーストしてくる学生がいます。Turnitin Feedback Studioで剽窃チェックをするとすぐに分かるのですが、なぜ剽窃を軽く考えるのかと残念な気持ちになります。

ライティング教育が抱える問題点 

一つ目の問題として、剽窃行為を避けることと、正しい引用をすることは同時に教えられるべきですが、これらがきちんと学生に伝わっているのか考える必要があります。前回でもお伝えしましたが、豪メルボルン大学の準備講座 Academic Skills Unit では、Using Sources and Avoiding Plagiarism を受講することは全ての入学者にとって必須でした。その授業では、まず剽窃を、「他人の創造的な作品を自分のものとして表す卑劣な行為」と定義し、以下のような行為が相当すると紹介していました。

  • Copying (or allowing to be copied) text, ideas, concepts, research results, statistical tables, computer programs, designs, images or sounds, or any combination of these [ 他のテキストやデータなどをコピーすること ]
  • Paraphrasing another person’s work with minor changes, but keeping the meaning, form, and/or progression of ideas of the original [ 原文をほとんど変更することなくパラフレーズしてしまうこと ]
  • Piecing together sections of the work of others into a new whole [ 原文のいくつかの部分をパッチワークのように繋げて新しくすること ]
  • Submitting part or all of an assignment twice for separate subjects or marks [ 同じもの、もしくはその一部を2箇所に提出(投稿)すること ]
  • Presenting an assignment as independent work when it has been produced in whole or part in collusion with other people, for example, another student or a tutor [ 他の学生やチューターと作成したものを自分のものとして提出すること ]

これらのリストに相当する例を示し、何が剽窃に相当するのかを学生に考えさせる、そして剽窃を避けるために、どのように引用するのかを教える、授業はワークショップ形式で進められていました。口頭で剽窃をしてはいけない行為だと伝えるだけでは、学生は何がそれに相当するのかは分かりません。私たちが教えているプロジェクト発信型英語プログラムでは、間接引用におけるパラフレージング(別の語彙や構文を使って言い換えること)とサマライジング(要約すること)の2つの方法を演習形式で教えています。学生には難しいようですが、論文を英語で書くためには両方とも必須の技術なのです。

もう一つの問題として、剽窃はレポートや論文を書く際に、「自分で思考することを放棄する行為」とも捉えられ、私はむしろこちらを強く懸念しています。昨今は、様々な情報が世の中にあふれています。誰もが、あらゆるSNSツールを使って情報や意見を発信できるようになっています。このような状況下において、早稲田大学の佐渡島氏(2014)は、インターネット上の情報を学生がそのまま鵜呑みにして、自分の意見としてコピペしてしまう事実に危機感を感じると述べています。私も同じ意見です。レポートや論文を書くときには、自分の主張の正当性を示すために、必要な情報を種々選択し、それらの情報を統合させなければなりません。そのプロセスは「自分の頭で考える」ことそのものです。コピペは、まさに自分で思考することを放棄してしまう行為であり、そういった意味でもアカデミック・インテグリティの重要性を学生に伝えていきたいと思っています。

山下美朋 准教授
立命館大学
生命科学部 生命医科学科

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【引用文献】    

山中司・木村修平・山下美朋・近藤雪絵 (2020).「プロジェクト発信型英語プログラムーー自分軸を鍛える「教えない」教育」北大路書房, 139-142

佐渡島沙織(2014). 「アカデミック・ライティング教育と情報リテラシーー情報を再定義し意見を構築できる学生を育てる」 情報の科学と技術, 64, 22-28