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盗用・剽窃は、他者の成果を自分のものであると意図的に主張する行為として取り上げられることが多いですが、実際にはもっと複雑で微妙な問題です。その複雑さは、学部生に比べてずっと深い理解と豊富な経験を備えている研究界では、特に顕著です。 

それにも関わらず、盗用・剽窃は投稿論文の査読段階で定期的に表面化する問題です。以前にもブログで取り上げたように、ある大手の学術誌でリジェクトされた投稿論文の23%は盗用・剽窃が原因であるとされており、そのなかには「従来的な」他者の成果の盗用に加えて、自己剽窃なども含まれています。では、なぜ研究公正と研究倫理に精通した研究者が盗用・剽窃の問題に足もとをすくわれてしまうのでしょうか?

このことについて学術出版の権威であるアカバナコンサルティングの創設者兼CEOのマシュー・ソルター博士にお話を伺いました。アカバナコンサルティングは、STEM分野の独立した出版・編集コンサルタントとして、学術団体や出版社に向けて、出版、編集、プロモーションサービスを提供する会社です。ソルター博士は、出版に関する専門知識と産業界と学術界における経験をもとに、以前にも当社のブログで ハゲタカジャーナルやクローンジャーナルの問題点を解説していただきました。今回は、研究での盗用・剽窃に対する誤解への対処法を見ていきましょう。

研究に基づく盗用・剽窃の動機と意図 

ソルター博士は、大半の研究者は誠実であり、自分の研究や論文においてできる限り最高の仕事を望んでいると前置きしたうえで、研究者の注意義務の欠如が不用意な盗用・剽窃の主な原因となっていると述べます。博士の説明によると、盗用・剽窃が起こるのは、研究者が論文執筆のプロセスのなかで自分がどこにいるのか分からなくなるときです。たとえば、様々なアイデアをまとめる際や、他者の研究成果を引用する際に、自分の考えや研究との境界線に迷うことがあります。また、自己剽窃に関しては、自分の過去の研究成果の取り扱いを誤ってしまうことで起こるものだと説明します。   

意図的に盗用・剽窃を試みる意志が研究不正につながる一方で、そのような意志を良い方向へ揺れ動かすために、研究公正に対する情報に基づいた取り組みを推進することが盗用・剽窃の発生を防ぐ可能性もあります。ソルター博士は、研究文化や慣例のなかで継続的なトレーニングを実施できれば、それこそが盗用・剽窃を防ぐのに最善であると述べます。しかし、そのような効果的な研修が常に提供されているわけではなく、意識の差や、適切に引用して論文を執筆する能力の差はいまだに残っています。とくに、自分の過去の研究成果を引用することに関しては、意識と実践力を高めるトレーニングが重要です。

自己剽窃は何が問題なのか

自分の考えや研究成果を盗用・剽窃することに頭を悩ませたり、その考えを軽視したりしたことがあるのは、よくあることです。自己剽窃は「研究活動における盗用・剽窃の種類」のなかでも、とくに学部生にとっては理解しづらいもので、全体的な研究責任というよりは、オーサーシップの問題のみに起因するものです。簡単に言うと、自己剽窃とは、著者が自分の過去の著作物の一部あるいは全体を、別の課題や出版物のために再利用し、新しいものとして発表することです。 

さらに複雑な研究状況では、研究者は多くの場合、自分の過去の出版物や未公表の成果を基に研究を組み立てるよう求められるため、過去のアイデアを新しい研究に応用する際には非常に慎重な判断が必要となります。同じアイデアの再発表に過度に依存すると、他の研究者や論文の読者に対して、新しい論文であるにも関わらず、その研究内容が発展していないことを事実上意味します。このことについてソルター博士は次のように説明します。

「新たな研究論文が公開されれば、そのなかには新しい内容、最新の科学、斬新な洞察が含まれていることが期待されます。過去の考えをカット・アンド・ペーストして再利用することは、その期待に反するだけでなく、研究者としての評判をおとしかねません。」
- マシュー・ソルター博士

博士はさらに、「論文は一本一本が発展していくべきものです。文章の大部分をカット・アンド・ペーストしたものが最高の論文になるとは思えないので、それを避けることがとても重要です」と述べます。もちろん、完璧な分析と考察が書けると、その後の論文でそれを引用する際、新たに書き直すことに躊躇するかもしれません。面倒に思うのも当然でしょう。しかし、前述した原則や価値観のほかに、自己剽窃を避けるべき重大な理由がもうひとつあります。それは、著作権に関わることです。  

特に若手研究者は、出版公開された研究の自己剽窃を裏付ける法的な根拠があることを知らないかもしれません。ソルター博士によると、論文出版前に出版社と交わすライセンス契約によっては、その内容をその後の論文で再利用するための著作権を放棄している可能性もあるそうです。さらに出版社側から見ると、文章やデータをそのまま使っている研究者は、他にも安易な解決策に頼っている可能性が疑われます。

自己剽窃を避けるべき、さらなる理由

自己剽窃のもうひとつの問題は、それが、「サラミ出版」といった、より広範な研究不正の兆候となり得ることです。サラミ出版とは、ネイチャー誌の説明によると「ひとつのまとまった研究を細分化して、できるだけ多くの出版物にする慣習」のことです。論文数を増やすために研究成果を引き伸ばそうとすると、実質上、それぞれの論文の研究への貢献や洞察が「薄く」なってしまうことが考えられます。

エルゼビア社の「サラミ出版」のファクトシートによると、研究の繰り返しも含めたサラミ出版の悪影響としては、査読者・編集者の時間を無駄にするだけでなく、その研究成果の文脈やインパクト、時系列について読者に誤解を与え、さらには、著者の被引用数を不正に引き上げることが指摘されています。さらに、多くのジャーナルがサラミ出版に対して厳しい態度をとっており、研究者が研究成果を再利用するのではなく透明性をもって成果を公表するよう求めているとも記されています。これは、ソルター博士の研究者への以下のアドバイスとも一致しています。「すべての論文が、科学の記録に本当に貢献するものであることを確認し、研究者としてのあなたの遺産であることを考えましょう。あなたの研究が、首尾一貫しており、興味深く、洞察に富み、有用であるという評判を得ましょう」 

では研究者は、ある論文のデータを、別の関連する論文で責任をもって再利用するにはどうすればいいのでしょうか。ソルター博士のアドバイスによると、もし過去の論文の資料を使うのであれば、そのデータの出所を徹底的に明示し、新しく追加したデータと比較して用いる必要があります。たとえば、元データと、新たに収集したデータの両方を比較するには、真に科学的な目的のもとで行い、明確に区別する必要があります。単につなぎ合わせるだけでは、新たな研究内容として発表することはできません。研究者は、論文の読者と科学コミュニティに対して、簡略化されていない完全な研究内容を見せる義務があるからです。 

自己剽窃のさらなる弊害として考えられるのは、過度な自己引用により、当該の研究課題に対する他者の研究成果や貢献を除外してしまう危険性があることです。ソルター博士はこの慣習をプロ意識の欠如であると言います。そして、自分の過去の論文をその他の重要な文献より不当に優先して引用し、読者の誤解を招く恐れがあると編集者や査読者が判断した場合、研究不正にもなり得ると述べます。 

画像処理における研究不正 

研究行為における違反については、文章ベースの違反がもっとも一般的で、注目を浴びていますが、ソルター博士は画像操作が横行している事実も指摘し、文章の不正利用と同等の問題があるとしています。ソルター博士は出版業界での自身の経験をもとに、なぜ画像操作が研究者に意識されるべきかと、画像が適切に使われているかを確認するためにジャーナルのスタッフが膨大な時間を費やしている事実を指摘します。 

博士の説明によると、研究者、とくに若手研究者は、自分の研究成果か他者の研究成果からの引用を含む画像を使う際、不注意で誤った情報を発信してしまうことがあります。さらにソルター博士は、悪意ない画像操作が多発していることも指摘します。典型的な例としては、研究者が画像の情報を読者に分かりやすく伝えようとするあまり、微妙な画像編集や画像操作をしてしまい、倫理面での「グレーゾーン」へ迷い込んでしまうことがあげられます。

英文校正サービスのエナゴは、明確化と虚偽の区別について、次のように説明します。「明確化とは、著者が倫理に則って、読みやすくするために画像を“整理する”ことである・・・・・・しかし、著者が画像に変更が加えたことに言及しない場合は研究不正と見なされ、ジャーナルは不正確か誤解を招く資料を出版したことで非難される可能性がある」ここからわかる大切なポイントは、画像の変更に正当性があるかどうかよりも、出版社の査読段階でその変更が明確に示されることのほうが重要ということです。 

また、文章の再利用に関わるライセンスと著作権の問題は、画像についても同じ原則が当てはまります。論文のアイデアや仮説を実証するために、過去の出版物の文章や画像を取り入れる際、ソルター博士は「許可を得て再利用すること、そのための理由があること、出典を明確にすること」という原則を示しています。  

研究プロセスで盗用・剽窃を避けるための実践的なヒント

盗用・剽窃に関わる研究不正のリスクと、ソルター博士による前述の注意義務のアドバイスを振り返ると、透明性という共通点が現れます。ソルター博士が繰り返し強調するのは、データ収集から論文執筆に至るまですべてのプロセスをとおして、研究者がすべてを開示し、透明性を保つ取り組みが、起こりうる問題を回避するのに非常に有効であるということです。 

さらに、計画が不十分であると、研究の過程でデータを見失い、安易な解決策として不注意な盗用・剽窃につながる可能性があります。ソルター博士は、既存のデータと新しいデータの扱いが曖昧になることを避け、著者の帰属を明確にするための初歩的なデータ管理を提唱します。  

以下は、研究不正のリスクを回避し、研究の盗用・剽窃に関わる研究公正を保持するためのソルター博士のアドバイスです。   

  • データの取り扱いと論文執筆において透明性を保つ 
  • データや文章、アイデアの大きな塊を、過去の研究と同様の方法で再利用しない
  • オリジナルの文章を書くことを心がける 
  • 過去に出版された研究成果(自分のものでも他者のものでも)を引用する必要がある場合は、引用箇所は最小限に抑え、引用符で囲んで、出典を明確に示す
  • 非ネイティブ言語で執筆する場合は、学術論文に特化した校正サービスを利用する
  • 過度な自己引用を避ける 
  • 研究規範について自分の理解が曖昧な場合は同僚や教授に尋ねる
  • 他者の研究成果の数字やグラフ、データを転載する場合、ジャーナルや著作権者の許可を得る必要がある
  • 自分の論文に盗用・剽窃の可能性を確認するために、類似性チェックツールを使用する
  • データは念入りに整理して保存し、なるべくタイムスタンプ付きの明確な記録を残す


研究論文で求められる公正性の担保とは 〜ジャーナルから見た研究における公正性〜
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