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​京都外国語短期大学にてキャリア英語科をご担当される辰巳遼講師に、「デジタル時代のアカデミック・スキルズ」をテーマにご寄稿いただくシリーズのVol.3 となります。今回は、アカデミック・ライティング指導とアカデミック・インテグリティの関連性について取り上げていただきました。​​


アカデミック・ライティングの可能性

前回、「英語で社会を豊かにする」ことがこれからの英語教育の可能性であると述べました。そのためには世界を知り、あらゆる知識を増やしながら自分の考えを発信していくような教育が必要になってきます。デジタルなツールはその点便利で、私たちの活動の射程を広げてくれますが、だからこそデジタルメディアの知識も今の教育にとって欠かせないと私は考えています。ネット上のアカデミックな記事や論文は信頼度が高く、社会的な発言力も高い情報伝達の場です。現在アカデミック・ライティングが教育現場で積極的に教えられている理由は、情報を人に伝達し、説得するという形が備わっているだけでなく、信頼性を保っている形式だからです。信頼を得るという意味ではアカデミック・ライティングは自己発信の可能性をグッと広げてくれる武器となるでしょう。ただし、「信頼性」があるからといって「公正」が得られるわけではありません。今回は、前回に続き「アカデミック・インテグリティ」について、ライティング指導を通して考えてみたいと思います。 

他者の目を意識させるPeer Review

アカデミック・ライティングを教える際に、まず問題となるのが体裁や剽窃です。初年度のクラスでは、英語の文の基本的な書き方もまだ分からないといった学生もたくさんいますので、文章の書き方の前に、パラグラフの在り方やコンマ、ピリオド、大文字・小文字の使い分けから、引用の仕方といったことまで丁寧に教えていく必要性をいつも感じています。

しかし指導していて感じるのは、何よりもまず「伝えるための言語」として書かれているかです。すなわち、自分で英語を絞り出したけれど、読者のことを考慮できていないケースがよくあるのです。特に文を長くして難しく見せたり、主張したいポイントが分かりづらかったりということです。

Peer Reviewは、上記のようなことを学生が自律的に修正することを促します。アカデミック・インテグリティが求める公正や信頼などは、他者がいて初めて成り立つものですから、他者の目を意識させるという面ではPeer Reviewは一つのプロセスとして有用に思います。私の担当している一部授業でTurnitinのFeedback Studioを使用させていただいておりますが、その中のPeer Mark機能では、任意のペアを作り、こちらが用意した評価軸をもとにお互いのペーパーをチェックし、採点してもらいます。ここで得られる「他者の目」は効果的で、ルーブリックの中に「引用はしっかりと示せているか」や「メッセージが分かりやすいか」などの項目を組み込むことで、相手の論評をするだけでなく、自分の書いたものもより客観的に見れるよう促します。

剽窃をしてしまう前に剽窃の理解を

私が担当しているライティング活動のあるクラスで、32名の学生に簡単なアンケートをとってみました。その結果、「剽窃の問題について知っていたか?」という質問に「はい」と答えた学生が59.4%、「いいえ」が40.6%でした。また「引用の仕方などが問題になることを事前に知っていましたか?」という質問に「はい」が71.9%、「いいえ」が28.1%でした。さらに、「論文の書き方などにこれまで触れたことがありますか?」の質問には「はい」が56.3%、「いいえ」が43.8%となりました。

簡単なアンケートではありますが、ここから分かることは、約6割の学生が剽窃について知っていて、論文の書き方にも触れたことがあるということです。逆に4割もの学生がそういったことを知らなかったということも明らかになりました。また殆どが引用の仕方に問題があることを認識しているため、アカデミック・インテグリティに関わるデジタルな世代のリテラシー教育が不可欠ではないかと思います。すなわち理解していることとやり方を知っていることとは異なるので、紙で書いていた時代と異なり、ICT教育が本格化している昨今では特に、大学初年度からアカデミック・ライティングに触れさせて、アカデミック・インテグリティの理解を促すことがいかに重要であるかを再確認できます。

Feedback Studioではまた、学生自身で剽窃のパーセンテージと引用の確認を行うよう指示します。もちろんここで、構成の確認や文法エラーなどのライティング指導を行いますが、まず重要なのは、学生自身に引用や剽窃を意識させるということです。大学の課題といっても、書いたものはずっと残りますし、卒業論文に至っては、彼らの将来に関わってくるものです。そういう意味で自分の足跡がデジタル空間に残ることをリテラシーとして意識させなくてはならないのです。このようにデジタルメディアの知識と他者の目は、より良い人材の育成に必要なアカデミック・インテグリティへの意識を高めてくれるでしょう。

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​連載最終回となる次回は、グローバル人材教育とアカデミック・スキルズの実践について取り上げていただきます。

辰巳遼 講師
京都外国語短期大学
キャリア英語科